一番スキルのない選手
20日の追い出し試合で豊田組はラグビー部を卒業しました。
「もっともっと下級生にスクラム教えたかったし、もっともっとあのメンバーでスクラムを組みたかった。こんなにトップレベルで熱い集団でラグビーができるというのは二度とない。悲しいですね。」
と寂しげに振り返ったのはPR山下高範選手。9月まではCチーム。
「藤森さん(ジュニアコーチ)や(同期の)奥野、小塩、安福らにずっと相談してて『お前にはスクラムしかねーだろ』と言われていた。それでもどんなにスクラム押しても上がれないというもどかしさがあって、僕の存在意義は何なんだろうと思った時期だった。」
それでも腐らなかったのは「親身になって相談してくれた」という(前述の)コーチや同期のメンバーの存在であり、1年生の時に当時の4年生に言われた…
”お前らはワセダのラグビー部の中で3回チャンスがある。その3回のチャンスをいかにモノにするかだ。”
という言葉を信じきっていたからでした。
「僕の最後のチャンスは早慶戦だった。あきらめていたら、そのチャンスをモノにできないし、絶対あきらめない事が大事だと思った。」
その早慶戦でスクラムを安定させると、3番のレギュラーの座をガッチリと確保…そして1月、”荒ぶる”優勝メンバーに見事、名を連ねました。
”荒ぶる”スタメン15選手のうち、浪人一般入試組は山下選手ただ一人。これから一般入試を経て、ワセダラグビーの門を叩く高校生には次のようなエールを送ります。
「僕はスクラムしか組めなくて、その他のスキルは中竹さん公認で”ワセダラグビー部で一番スキルのない選手”という肩書きを頂きました(笑)。どこかの言葉で『75%のスキルを10コ持つよりも、100%のスキルを1コ持った方がいい』とあったんですけど、ホントその通りだと思う。誰にも負けない武器を作れば絶対上でも通用する。
一つだけ武器を持って欲しいというのが一般入試組に対する思いですね。」
追い出し試合、後輩のHO有田隆平選手と写真を撮ろうとした時、「オレ、こっちだわ」と有田選手の右に位置を変えます。肩の組み方もスクラムの時と同じ。スクラムに拘り抜いた4年間の最後の写真もまた彼らしい1枚となりました。【鳥越裕貴】

「フロントロー(第一列)は家族ってホントですね。来年のフロントローが親のように心配ですけど、あいつらならやってくれますよ!」同じ第一列の選手達と。右端が山下高範選手