217.9km
〜熱走の刻〜
―小さな頃から憧れていた箱根の舞台ですがスタート前は緊張しましたか
いつも通りですかね。中継所ではちょっとビビった感じもありましたけど、でも最後まで楽しみが7、8割、緊張が2、3割でした。走り始めてちょっと圧倒された部分はありましたね。
―それは沿道の声援であるとか周りを見てですか
はい。そこからがちょっと違いましたかね。一気に心拍数が上がったというか。スタートラインに立った時はまだ大丈夫だったのですけど。声援がすごいっていうことは聞いていたんですけど…。噂は本当で走ってみたら左耳が痛くなったくらい。だから走る前に集中してあまり脇目を見るなって、出来るだけ前を見て走るようにってアドバイスをもらったんですけど、後半15キロくらいから集中力が切れてきて結構聞こえてきましたね。それまではあまり聞かないようにしていました。沿道に近づかないようにちょっとセンター寄りを走ったりして。
―自分の走りで良かった点はありましたか
良かった点は自分の気持ちを出せたところですかね。やってやろうと思って最初から気持ち良く入れたというか、走りたいように走れたってところです。前半だけですけど(笑)。
―後半の15キロ過ぎからは
しんどかったですけど自分なりにあれがもう目いっぱいでした。もがいてもがいてあれでしたから。持っている力は出し切ったかなと。
―そういった意味では悔いはありませんか
悔いがないと言ったら嘘になりますけれど、もう一回やっても東洋大の大津選手には勝てなかったと思いますね。速いですもん。頭も良かったですし。
―前半は引き付けて後半になって離すと狙っていたそうですね
してやられましたね。敵ながらあっぱれです。やはり心理的に痛かったですね。あと5秒差というところまで迫ってからはもう追い付くと思ってこれ以上ペースアップしなかったんです。そしたらずるずる引き離されてしまって。きつかったですあそこは。そのあと下りがあってそこも結構飛ばしたのですが、それでも詰まらなかったです。今だからこそあまり感情的にならずに冷静にいい思い出だなと思います。走れただけでも良かったです本当に。渡辺さんもよく言うんですけど「箱根を走ると人生変わるよ」って。本当に変わりますよ。
―実際に変わりましたか
帰省したときもヒーロー扱いでしたね。仕事を遂行できなかったのに走っただけでもちょっとテレビに出たということで。2番だったので結構アップが映って、(東洋大と)離れたあとも2号車あたりが走ってくれて一般入試のことでも注目してもらいました。母校の高校に行ったら現役の女子高生に囲まれてしまって、握手とかサインもいっぱい書きましたね。箱根が終わって初めてサインを書きました(笑)。僕は崩して書けませんから普通に名前をジャージやら帽子やらに書いて。凄いですよ。本当に。
―本当に人生が変わったことを実感したということですね
鹿児島だとテレビに映る人って物珍しく思えるので・・・。帰省してそういう所では実感しましたね。
―家族の反応などはいかがでしたか
家族は小学校の頃からずっと頑張っているのを見てくれていたので静かに「お疲れさん」って声をかけてくれましたね。
―今回の箱根駅伝を楽しむことはできましたか
はい、もうそれはその通りです。よかったです。総合優勝したかったですけど勝てなかったのもいい思い出です。また来年も続きますしね。後輩たちに期待します。
―今後は実業団で競技を続けるということですが今はどんな練習をしていますか
2週間ぐらいゆったりしていたんですけども、休みがちょうど終わって今は一日2回ジョグをしてたまに刺激を入れる程度ですね。実業団の練習に合流するのが3月からなのでそこに向けて徐々に始めています。きついですけど…。
―実業団での目標などはもう決まっていますか
わからないですね(笑)。ないんですよね。ニューイヤー駅伝に一年目から出れたら万々歳ですね。たぶん一年目には出れないと思います。10キロだとあと30秒ぐらい縮めないと。30秒縮めるには、あと10か月…。長い目で考えたいです。
―競技を続ける決め手となったことは何ですか
すごく迷ったんです。普通にいろいろ一応就職活動をして、不動産会社から一社内定をいただいたんですけれども続けるかどうかでどっちにするか本当に悩んで。もともと続けない予定だったんです。でも、続けた方がみんなは喜ぶかなと思って。
―それは監督やコーチをはじめとするチームメイトたちですか
いや監督さん、コーチは意外と一歩離れて「お前の好きなようにしたらいいから」ってすごく優しかったんです。本当に。それで他に競技を続ける奴は竹澤(健介=スポ4)と阿久津(圭司=スポ4)しかいなかったんで。あとは伸びしろがまだあるかなって自分に思えたっていうことも一つありますけど、それよりは続けるって言った方がみんなのテンションが上がるかなって思って。
―その結果として周りの反応はどうでしたか
「うおぉー」って感じですよ。よく決めたなー、信じてたよーって。まぁ「馬鹿だなぁ朝日」とか言ってる人もいますけどいいじゃないですか。
―ではこの決断は全く後悔していないですか
でも冷静に考えて自己分析とかをしたのですけど性格がスポーツ選手タイプじゃないです。向上心とか負けん気がある方じゃないので絶対に僕は普通に就職したほうが性格的、人間的には合っていると今でも思います。それでもやってみようかなって思ったのはみんなが喜んでくれるかなって思ったのと、相談に乗ってくれた実業団の先輩がいたんですね。でもその二人の先輩たちはやめちゃって(笑)。同期の友達と一緒にうまくやれたらなって思います。
