上井草便り

涙と涙
 決勝前アップを出られない4年生部員が全員見守る光景…毎年見る恒例の儀式に異変が起きたのは時計の針が13時30分をまわった頃でした。4年生部員全員がブレザーを脱ぎ始めて、ワイシャツ1枚になるとタックルダミーを持ち始めます。

“(決勝に向けて)何かオレ達に出来る事はないのか”-

 Bチームリーダーの小塩康祐選手、寮長の上田一貴選手らが考え、出した結論が決勝前アップで22人のタックル台となり、最後のエールに変えることでした。試合前日に他の4年生部員にそのことを伝えると皆が賛同し、決勝前アップのサプライズの瞬間を迎えたのでした。
 PRには控えのPRの選手が、HOには控えのHOの選手が…22人の前にはそれぞれ同じポジションを争ったライバルがダミーを持って待ち受けます。

 「全く想像していなかった」(SH櫻井朋広選手)その光景に、タックルに向かう者も
涙、タックルを受ける者も涙、下級生が4年生を吹っ飛ばして、4年生はワイシャツをグシャグシャにしながらも再び立ち上がってタックルを受けます。ダミーを持つ選手の中には選手権後に手術を控えた部員も入っており、痛む足を引き摺りながらも再びダミーを持って受け構えます。

 FL中村拓樹選手のトイメンは上田一貴選手でした。中村選手にとって同じ高校(啓光学園)出身の上田選手は「高校1年のときからずっと目標にしていたプレーヤー」であり、その上田選手が試合前の寄書きで送ってくれた言葉は“オレの4年間を任せたぞ”-

 PR山下高範選手のトイメンは内田雄介選手でした。下級生時から4年間ずっとポジション争いを繰り広げたライバルが送ってくれた言葉は“3番一緒に争ったよな。お前が一番強いよ。スクラムに誇りを持て”-

 22組のライバル同士が、彼らにしか分からない涙と涙のぶつかり合いを終えると、やがて22人の涙は “ありがとう-”という感謝の気持ちへと変わります。
 やがて豊田将万主将以下22人と4年生部員全員の大きな円陣が出来、その中心で豊田主将が叫びます。

「これだけ背中を押してくれるやつがいる。思いきってやろう!!!」14時前、豊田組の自信は確信へと変わっていました。【鳥越裕貴】

ブレザー姿の4年生部員全員も入って歓喜の記念撮影

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