覚悟
「伝統対実力で伝統が勝った」…記者会見場で豊田将万主将はそう言うと 隣に座る中竹竜二監督の顔をチラリと見て笑いました。
“実力は東海。早稲田が勝つなら伝統-”
戦前のメディアの予想記事に、中竹竜二監督は 「勝ったら『伝統で勝ちました』と言おうねとみんなで言ってました(笑)」
表向きはそう言いながらもその裏には「しつこいくらい分析した」(同監督)という綿密なスカウティングがありました。
「個々の力で行かれないよう一人目ダメだったら二人目かける。人数かけてもいいからブレイクダウンをしつこく。」「流しながらディフェンスして(ゲインされたら)リーチ君やマウ君に絡めるはずがない。抜かれてもいいから前に出て止めよう。」 リスクを背負ってでも今季の前に出る“攻撃的”ディフェンスを貫く方向性を再確認する一方で30日の練習前、上井草寮の監督室の机上には“メンバーより”と書かれた1枚紙が置かれていました。
「今週これだけをやります」…紙に書かれた3つの言葉(タックル、動き出し、ノミネート)に決して真新しい言葉はなかったものの、中竹竜二監督は「あれ、実はすごい感動したんですよ」ー。
「不言実行も格好いいが、“やります”と言ってやりきる方が難しい。こうやれ、ああやれとこちら側が言うより、自分たちで決めて宣言した時の重みの方が断然ある。彼らの責任というかやりきる覚悟が(そこに)あった。」(同監督)
選手達の思いも「発言する事で覚悟が決まった」(山下高範選手)、「(練習に出てきた)皆の目が違って覚悟を決めた顔だった」(豊田将万主将)…と一つに。迷いを捨て去った豊田組の戦いの前に相手の東海大の岸主将は「速いディフェンスとしつこいブレイクダウンは予想以上」とただ脱帽するばかりでした。
色んなことにチャレンジしてきたシーズンの最後に「覚悟」を決めた豊田組、“荒ぶる”までいよいよあと一つ。【鳥越裕貴】

ディフェンス、ブレイクダウンの勝利となった東海大戦。写真はその象徴的存在、2年生HO有田隆平選手