箱根駅伝2009

第85回東京箱根間往復大学駅伝競走 1月2・3日 東京・大手町〜神奈川・箱根町
 1月2・3日に行われる箱根駅伝の区間エントリーが29日、発表され、足に痛みを抱える竹澤健介主将(スポ4)は3区にエントリーされた。華の2区は尾崎貴宏(教3)が務める。エースが2区を回避したものの、随一の層の厚さを誇る今回の早大。打倒・駒大を果たしての16年ぶり総合優勝を狙う態勢に揺るぎはない。

 1区を任されたのは、他大の誘いを断って早大を受験、入学を果たしたルーキー矢澤曜(教1)。デビュー戦の4月の東京六大学対校で頭角を現すと、1年を通じて活躍を続けてきた。当初は前回同区間3位だった尾崎を引き続き今回も、という構想だったが、駅伝シーズンで矢澤が全日本大学駅伝の1区でスターターとしての責務を果たしたことや、11月の上尾シティマラソン(上尾ハーフマラソン)で距離練習が不足している中でも長い距離への対応を見せたことから白羽の矢が立ったという。各校がけん制し合い、スローペースになると展望されるが、出遅れは許されないこの区間。2日間の大勢を決める矢澤の走りに注目が集まる。

 華の2区には尾崎が登場する。五千メートル14分台、一万メートル29分台と数字では他校のエントリー選手に見劣りするが、持ちタイム以上の力を発揮する、失敗のない選手だ。今季は度重なる故障に悩まされたが、その中でも関東学生対校選手権ハーフマラソン3位、出雲駅伝6区区間8位、全日本大学駅伝8区区間4位と、有力選手がそろう舞台で常に安定した結果を残してきた。2区には後半に選手の体力を削ぎ落とす2か所の上りが存在するが、1年時は5区の候補にも挙げられ、「上りは得意」と本人が自覚している点が心強い。各校のエース級ランナーが集う最も華やかな区間。いぶし銀の『職人』が脚光を浴びるときがきた。

 北京五輪に出場し、今や日本長距離界の顔となったチームの大黒柱、竹澤は全日本大学駅伝後に左アキレス腱移行部を痛めた影響で2区よりも負担の少ない3区に回った。坐骨神経痛を患った前回よりも状態は良いといい、区間賞はもとより、区間記録の更新にも期待がかかる。例年以上に実力ランナーが3区に集中している今回。「最後にしっかりと走って締めたい」と意気込む大エースの有終の快走で他校をねじ伏せ、チームを上昇気流へ乗せたい。

 18.5キロの4区は1年生の三田裕介(スポ1)が配された。チームが11位に終わった出雲駅伝でも4区区間5位と悪い流れにのみ込まれることなく走り、「どの位置でもらっても自分のペースで試合を作れる選手」(相楽豊コーチ=平15人卒)と周囲からの信頼は厚い。15キロ以降の対策なしで臨んだ上尾ハーフマラソンも1時間4分25秒でまとめており、距離に対する対応力も十分。つなぎの区間と称される4区だが、首脳陣が自信を持って送り出す新戦力で攻勢をかけるつもりだ。

 天下の険を駆け上がる5区では三輪真之(人4)が“ポスト駒野”に名乗りを上げた。昨年の実験では前回往路優勝のテープを切った駒野亮太(平20教卒)に次いで適性があったといい、練習でも上りに対する強さを光らせていた。大きなポイントとなるのが、国道1号の最高点を過ぎてからの、不得意とする下りの部分。駒野も下りに苦手意識を持っていたが、気持ちで後続に影を踏ませずに走り切ってみせた。「1〜2分違ってくる」(相楽コーチ)というこの箇所。今回に人一倍の意気込みを見せる三輪の4年生の気概に期待したい。また、練習ではそれほど力の差がなかったという高野寛基(スポ2)、八木勇樹(スポ1)も控えており、当日は誰が出走しても大丈夫そうだ。

 山下りの6区には、3年連続で加藤創大(スポ3)が満を持して登場する。今年はいつになく自信を見せており、59分15秒で区間賞を獲得した前回以上の活躍は間違いなさそうだ。今回は設定タイムを58秒35とし、区間新記録の樹立も念頭に置いている。トップで駆け下りた前回とは違い、前に居るランナーを追いかける展開が予想される今回。総合優勝にたどり着くためには、『山下りのスペシャリスト』の快走が不可欠だ。

 7区はBチームからのたたき上げ組の一人である芦塚泰(商4)が配置されたが、この区間は中島賢士(スポ2)や朝日嗣也(教4)らの起用も考えられる。前回の箱根を経験している中島は、山上りの練習のダメージが抜け切れずに駅伝シーズンは出遅れていたが、上尾ハーフマラソンは部内2位で駆け抜けるなど復調傾向も見え始めており、首脳陣にも心配は見られない。加藤の作り出す流れにさらなる勢いを与えたい。

 8区には今季急成長を遂げた猪俣英希(スポ2)がエントリーされているが、残り5キロに難所とされる遊行寺の上り坂が待ち構えており、相楽コーチが5区の練習を積んできた選手が8区に回る可能性もあることを示唆していたことから、八木らが登場すると考えられる。八木は高校時代に我が世の春を謳歌していたスーパールーキー。今季は精神面が影響してその能力を試合で十分に発揮できなかった。自身の内なるライバルとの対峙に打ち勝てるか。日本中が注目する箱根路は真価が問われる場所となりそうだ。

 9区には、前回華の2区を駆け抜けた高原聖典(人3)がどっしりと構える。今季は五千メートルで13分台に突入するなどした一方で不振にぶつかることも多く、昨年ほど目立つ機会は少なかったが、夏合宿では昨年以上の練習量をケガなくこなしており、長い距離においては波が少なく信頼の置ける選手だ。前回はこの区間で駒大に首位の座を明け渡してしまった。今回は準エースの快走で優勝を確固たるものとしたい。

 10区は「暑くなって来てなおかつ距離が長いので、スタミナのある上級生を起用したい」と渡辺康幸監督(平8人卒)が語っており、三戸格(政経4)、さらには朝日らの起用が考えられる。「一般の選手は下積みでものすごい量の練習を積んできて、確実に力をつけながら伸びてきているので、はずれが少ない」と相楽コーチ。地を固めながら着実に成長してきた4年生の走りは盤石だろう。ライバル駒大との戦力差はそれほどないため、アンカー勝負もあり得る今回。4年間の全てを乗せた力走に命運が託される。

 エース竹澤が3区に回ったものの、その分の不利をほかの選手で無理なくカバーしているこの布陣が抜群の層の厚さを示している。部内でも選手同士の実力は拮抗しており、万一アクシデントが起きた場合でも柔軟に対応できる点も今季の早大の強みだ。前回同様、比較的往路に豪華な顔ぶれがそろったが、あくまでも往路優勝にはとらわれず、見据るのは総合優勝ただ一つ。栄冠奪取への戦いは、もうまもなくやって来る。(石川祥子)

華の2区を任された尾崎

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