第39回明治神宮野球大会準決勝 11月18日 神宮球場
早大 0000000000 0
東北福祉大 0000000001X1
(早)斎藤佑、●大石-細山田
◇(二塁打)上本
終わりの時は、突然やって来た。神宮大会2年連続準優勝の早大が臨んだ、この日の準決勝。悲願の栄冠へ挑むも、東北福祉大を相手に延長10回サヨナラ負けを喫した。先発の斎藤佑樹(教2)が8回を無失点に抑え、救援の大石達也(スポ2)へとつなぐ勝利の方程式。しかし両者無得点のまま迎えた延長10回裏、東北福祉大にスクイズを決められた。この敗戦により、上本博紀主将(スポ4)を始めとする4年生は引退。寒風吹きすさぶ神宮球場に、儚くもワセダの思いは散った。
猛然と突入する三塁走者、そして唸りを上げる大石の剛球。1点を懸けて本塁を目指した、2本の流線。弾かれたのは、大石だった。サヨナラとなるスクイズが決まり、勝利に沸く東北福祉大ナイン。上本ワセダの秋が、終わりを告げた瞬間だった。
夜の帳を、神宮のカクテル光線が切り裂く。先攻となった早大は、2回戦に続くナイトゲーム。試合前のシートノックでは、懸念となる飛球を繰り返し練習した。ワセダの先発マウンドは、絶対的エース・斎藤佑。死闘は、静かに始まった。
試合序盤、斎藤佑と東北福祉大・中根の両先発が万全の立ち上がりを見せる。膠着(こうちゃく)が続く4回表、先に先制機を迎えたのはワセダ。代打・生島大輔(スポ4)が四球で歩き、2死満塁となった。漆黒のバットを携え、打席に向かうは泉尚徳(スポ4)。フルカウントからの6球目を、力強く叩いた。鋭い打球を二塁手が弾いて拾い直す、泉は一塁へ頭から飛び込む。あと一歩、届かなかった。
投手戦の様相を呈する中、初めて走者を許した4回裏。斎藤佑は、2死二塁のピンチを招く。カウント2-1からの4球目、決めに行ったスライダーがボールの判定。これに対し斎藤佑は、珍しく審判に抗議の意を見せた。エースが示す、勝利への執念。直後の一塁ゴロは大きく跳ねて、原寛信(文2)の顔面を襲う。それでも原は、この打球を逃げずに好捕。早大ナインは闘志を漲らせ、細山田武史捕手(スポ4)を中心に必死の守りを見せる。遊撃手の松永弘樹(スポ2)が連発する美技にも助けられ、斎藤佑は8回を3安打無失点の好投。貫禄を見せつけ、マウンドを後にした。
一方の打線は得点を奪えず、回が進むごとに重苦しい空気が立ち込める。各打者に目立った、力みと空回り。リーグ戦からの課題である決定力不足に、この大一番でも泣いた。特に3番・松本啓二朗(スポ4)が、終盤に訪れた2度の好機でいずれも凡退。打線の中核が、勝負所で封じられた。延々と続く、スコアボードのゼロ行進。漂う暗雲を振り払うべく、9回のマウンドには守護神・大石が上がった。
エンドロールはまだ早い。『大石劇場』の幕が開く。0―0のまま迎えた9回裏、1点すら失うことが許されない緊迫した場面。ここでも大石は、力勝負で打者をなぎ倒していく。先頭打者から、3者連続の空振り三振。決め球はすべて直球、まさに圧巻の投球だった。
しかし、ワセダに勝利の女神が微笑むことはなかった。迎えた延長10回裏、東北福祉大の先頭打者は4番・高橋。バットを振り抜くと、大石の球が初めて前に飛んだ。遊撃後方に、力なく上がった飛球。落下点を探る松永の足取りに、迷いと不安が見える。ナイトゲーム、裏の守備。松永が差し出したグラブをすり抜け、白球は無情にもグラウンドで跳ねた。直後に暴投が重なり無死三塁、これ以上ない土壇場。この絶体絶命の局面で、ワセダは大石と心中した。大石もその期待に応え、真っ向勝負で見逃し三振。まずは1死、さらに次打者も追い込んだ。三振を狙って、渾身の1球――待っていたのは、悪夢のような結末だった。
早大野球部の輝かしい歴史にあって、未だ加えられることのない神宮大会の栄冠。悲願の達成は、またも新チームに託されることとなった。打線の低迷と投手陣の躍進、屈辱の春と歓喜の秋。激動の1年が、ついに幕を下ろす。神宮の舞台から去る、上本ワセダ。伝統の1ページに、その雄姿を刻み込んだ。 (田村航平)

サヨナラ負けにぼう然と立ち尽くす細山田